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新聞に載らない内緒話

悔いもないし、恥もない

「どうも日刊スポーツさんにはすっかり儲けさせてもらいまして」と会社近くの豚カツ屋がほくほく顔である。余談だが、この豚カツ屋、食通でならした作家、故・池波正太郎さんが通ったという名店。もっとも通ったのは先代の時代で、二代目は豚カツもうまいが、シメサバなど日本酒のアテも作る器用人である。「豚カツ屋にしとくにゃもったいねぇや」。あんまりおいしいので、アテばかり頼んでいたら「たまには豚カツも食べてくださいよ」ときたので「馬鹿いっちゃいけねぇ、江戸っ子が豚カツなんぞ食うかい」と茶化しておいた。
それはさておき「なんだい、その儲かったってぇのは」と切り返したら、サッカーW杯の日本戦当日になると、小社から豚カツの出前が増えたそうな。私が久しぶりにこの店を訪れたのは6月22日だったが、日本代表のブラジル戦を控え、小社から59個もの豚カツ弁当の注文がきていた。「何とか勝ってもらいたいって、皆さん念じているわけでさぁ」と主人。なるほど「カツ」と「勝つ」でゲンを担いでいるわけで、小社社員もなかなか涙ぐましいではないか。「それじゃぁ、こちとらも便乗しようじゃないか」と注文したので、この日の豚カツ屋の注文は日刊スポーツだけで60個の大商いである。オーストラリア戦、クロアチア戦も同様の盛況だったそうだから、主人のえびす顔は納得がゆく。風吹けばなんとやらの体(てい)である。
後日。揚げものといえばやはり行きつけの、築地のてんぷら屋。一杯やっているときに気が付いた。「そう言えば鯛の天ぷらってぇのを食ったことがないや。あるかい?」と聞いたら「そいつはゲンが悪いや。徳川さんは鯛の天ぷらで死んだんでしょ」と主人。なるほど、徳川家康は鯛の天ぷらに当たって死んだことになっている。しかし「にわかに信じられねぇなあ。天ぷらってぇのはだいたい体にいいんだろ。それにあんなうまい魚、刺身ならともかく、油で揚げる馬鹿はない。さしずめ家康末期の食事が鯛の天ぷらだってこった」と言い負かした。そうじゃないのかな、実際。
さて、小社「豚カツ」の願いもむなしく日本代表は早々に負けてジーコ監督が26日、退任会見を開いた。約40分間にもわたるものだったそうだが、印象に残ったのは「(監督として)悔いもないし、恥もない」というコメントだった。選手も一所懸命戦ったのだろうけれど、技術はともかく体力に劣る日本代表だけに采配も苦労したろうなぁ。素人目にも相手に「食い」つく迫力はなかったし、ボールを最後まで追いかける「走り」も終盤は息切れた。
ジーコ監督の「悔いもないし、恥もない」は「“食い”もないし、“走り”もない」という意味であったか。うがちすぎか。

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