カレンダー
05 | 2014/06 | 07
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 - - - - -
Facebook
最新の記事
プロフィール

加藤 利教

Author:加藤 利教
Katoh's Roomへようこそ!

カウンタ
カウンタ2
現在の閲覧者数:
ブログ検索
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

新聞に載らない内緒話

線香花火

 終戦直後に建てた、古びた平屋建てで、縁側があった。浴衣に着替え、蚊取り線香を焚き、スイカを頬張った。
 細長い庭の、玄関口の高木ヒメシャラが花を付け、その白塊の隙間から万華さながらに花火の、立ち上がっていくのが見えた。
土手へ駆けだす、子供たちのサンダルがパタパタと鳴り、大人たちはウチワを手にざわめきながら暗がりをゆく。
 今はダメである。
家々がたて込んで、天を打つごう音だけが響く。家を建て直し、二階の窓から身を乗り出して花火玉を探すが、山型に、黒々と連なる屋根と高層ビルにさえぎられ、かすかにその〝尻尾〟を確認するだけである。
 花火大会が終われば庭で、昼間のうちに買い込んだ玩具花火で遊ぶのが楽しみだった。
とりわけ人気があったのは線香花火で、これがわが家の花火大会のフィナーレであった。
 和紙に少量の火薬を包んだそれを垂らして、小さな火に目を細めた。あの頃は幸せだった。
 先日、あるタウン誌を読んでいたら「線香花火」に出くわした。
 「火をつけてから落ちるまでの起承転結、序破急が人生そのものを表現」しているそうだ。
 「着火した直後に出来る赤い玉は〈牡丹〉、だんだんと激しくなる火花は〈松葉〉、火花を長く引く〈柳〉、そして消える寸前のチカチカは〈散り菊〉。なんとも詩的で美しいでしょう。細い体に繊細な侘び寂びをたたえた伝統美をなくしてはいけない」
 語るのは蔵前の花火問屋・山縣屋のご主人。純国産線香花火を復活させたという。
 「おもしろうてやがて寂しき花火かな」
 人口に膾炙(かいしゃ)した句だが、作者不詳であるらしい。
ならば、
「星一つ残して散る花火かな」
 こちらは作者が分かっている。酒井包一(ほういつ)。江戸の、むしろ絵師として名高い。
 夏の夜空に一つ、ひときわ明るく輝くのは、こと座のベガ(Vega)であろう。ギリシャ神話にあるこの星の由来は悲恋の物語で、日本では織姫と彦星にあたる。
 「七夕の荒波をわたる舟ひとつ」(秋櫻子)
 筆で短冊に、人の世を綴るから「文の月」でもある。

スポーツ、芸能情報は日刊スポーツへ。
ご購読申込は朝日新聞飯塚西部販売店もしくは日刊スポーツ販売局0120(81)4356へ
スポンサーサイト

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。