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新聞に載らない内緒話

シメて1800円ナリ               

ガラス戸を開けて店内に入ったら、見知らぬサラリーマン風が3人、小さなテーブルを囲んで一杯やっている。早い時間帯は常連で埋まるこの安酒場では珍客と言って良い。もっとも頼みの常連たちも最近は足が途絶え、この酒場は不景気風に吹かれ今月いっぱいで閉店になる。
 カウンターに座って、背中で彼等の会話を聞いている。
 「だからさ、若い奴らは小難しい質問をして俺たちを試しているんだよ。つまらない返事をしていると足元を見られ、言うことをきかなくなるよ。蛇のような冷たい視線を送ってくるようになる」。蛇のような、とは何やら文学的で、気が利いている。
 30歳代後半と思える3人はどうやら管理職であるらしい。
 「舐められたらオシマイだ」
 かつて管理職であった自分の姿を思い出す。あの頃はつまらぬ事を言ってくる部下には一喝して有無を言わせなかった。時代が変わったようで、現代の管理職は猫なで声で部下を統率する。まぁ「猫なで」対「蛇眼」の相克である。とかく息苦しい。
 1時間ほど、酒のみ話が続いて、どうやらオツモリになったようだ。
 「ご主人、会計をお願いします」と、年長に見える1人が腰を上げた。残りの2人も財布を出して「割り勘で願いします」と追随した。
 「いいよ、今日は俺が全部持つよ」と長財布を開いて年長が2人を制すると、店の主人が口を開いた。
 「1800円です、全部で」
思わず耳を疑った。3人で1800円? 1人1800円の間違いではないのか? 
 彼等が帰った後、尋ねてみた。「本当かい、安すぎないかい」
 主人が苦笑いをしながら指をさした。テーブルの上に空ジョッキが3つ、大皿が1枚。
 「酎ハイを一杯づつ、それと野菜炒め一品を3人で摘んだだけだから、こんな値段ですよ。最近の若い人は酒を飲まないね」。灰皿も綺麗なまま、たばこも吸わないのだろう。
 「カミさんに小遣いを握られているんだろ。飲みたくたって金が無いのかもね。領収証をくれと言わないだけマシかな」
 それにしても客の来ない店だ。せめてもと後続を待ったが、どうやら私がこの夜の、最後の客のようだ。
 会計を頼むと、1850円だった。
 店を出ると足がふらついた。そのはずである。3人分は、飲んだのだからな。

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