カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
Facebook
最新の記事
プロフィール

加藤 利教

Author:加藤 利教
Katoh's Roomへようこそ!

カウンタ
カウンタ2
現在の閲覧者数:
ブログ検索
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

新聞に載らない内緒話

呑みすぎ注意

先日、恩師の墓参りに行ってきた。今年は20回の節目になった。
大学時代の同期生、OBなど、先生にお世話になった人間が遠くは九州、四国、北海道から集まってくる。駅前で花を買い、バスで霊園へ向かう。1年に一度の恒例で、雑草の茂った墓地の掃除をする。終わればその周りで酒盛りということになる。大酒呑みだった先生は、ビールを氷で割って呑むのが好きだった。ビールの水割りを供え、買ってきた焼き鳥をつつく。   
先生はある健康上の理由で早々に亡くなられたが、歌人の奥さまはお元気である。足が悪いので墓参りがままならない分、息子さんが代参してくれる。息子さんは日本屈指の、著名な写真家で、我々に交じって酒を酌み交わす。かつての教え子たちの昔話を聞きながら、家では知り得ない父親の実像に触れることとなる。
「おっかない親父だったけど、そんな一面もあったんですか」と目を輝かせる。
実際、面白い先生だった。元新聞記者で、がらっぱちで、人情もろかった。会社の組織が嫌いで、昇進を蹴って大学に来た。
私はこの先生から酒の呑み方を教えてもらった。銀座の、伝統ある店(ただし高級店ではない。値段も安かった)をいくつも紹介してくれた。「社会に出たらこういう店で飲みなさい。付き合っている店の善し悪しで人間が推し量れるものなんだ」と教えてくれた。それらの店は今でもある。ただし、当時の店主は物故、引退で、2代目、3代目が切り盛りしている。
今の会社への入社が決まったとき、神楽坂の料亭で芸者をあげてくれた。三味線を入れてどんちゃん騒ぎをした記憶がある。「こういう場所も一度知っておけば、いざというときに恥をかくことがない」と自腹を切ってくれた。
誰もがそんな、先生の恩恵に浴したようで、思い出話が尽きない。
振り向けばかつての紅顔の美少年、美少女たち? もすでに50半ばになった。皆、酒もすっかり弱くなって、話題は出来の悪い息子らの愚痴と、健康問題である。
「先生も早すぎた。それにしてもあの頑健な先生が病気とはいえ、あっさりと…」とぼやき始めたころ、陽は西に傾き、宴はおつもりとなる。
「じゃあ、ぼちぼち」の声がかかると、誰もがポケット、バッグをまさぐり始めた。次々と錠剤を取り出し、口に放りこむ。「おっ、その薬、高血圧か?」「潰瘍だよ」「これ効くんだよ」「どこで手に入れた?」とひとしきり薬談義に花が咲く。
「先生、呑みすぎるなって言ってたぞ」。
「それって酒のことか? 薬のことか」。
一同の長嘆息に、草葉の陰の先生は笑っておられることだろう。

スポーツ、芸能情報は日刊スポーツへ。
ご購読申込は朝日新聞飯塚西部販売店もしくは日刊スポーツ販売局0120(81)4356へ

スポンサーサイト

コメント

Secret

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。